オールプラスチック製レース用エンジンを開発するPolimotor 2プロジェクトで、条件の厳しい燃料噴射システムにソルベイのライトン® PPSとテクノフロン® FKMを採用

ジョージア州アルファレッタ、2016年6月1日 – ソルベイスペシャルティポリマーズは、本日、オールプラスチック製レース用エンジンを開発するPolimotor 2プロジェクトにおいて、燃料噴射アセンブリにソルベイの二つの特殊ポリマーが採用されたと発表しました。この狙いは、エンジン軽量化の目標を達成し、厳しい競技レースの条件下で卓越した信頼性と性能を実現することにあります。

オールプラスチック製エンジンを開発するPolimotor 2プロジェクトは、エンジンの46 cmのフューエルレール部品を射出成形するための材料として、ソルベイのライトン® XK2340ポリフェニレンスルフィド(PPS)強化樹脂を採用しました。従来のスチール部品の代わりに高機能熱可塑性樹脂を使用すれば、フューエルレールを一つの部品として射出成形できるだけでなく、部品の重量を25~30%軽くすることが可能です。

オールプラスチック製エンジンを開発するPolimotor 2プロジェクトは、エンジンの46 cmのフューエルレール部品を射出成形するための材料として、ソルベイのライトン® XK2340ポリフェニレンスルフィド(PPS)強化樹脂を採用しました。従来のスチール部品の代わりに高機能熱可塑性樹脂を使用すれば、フューエルレールを一つの部品として射出成形できるだけでなく、部品の重量を25~30%軽くすることが可能です。

具体的には、ソルベイのライトン® XK2340ポリフェニレンスルフィド(PPS)強化樹脂の射出成形により、アセンブリの46 cmのフューエルレールを製造し、テクノフロン® VPL 85540フルオロエラストマー(FKM)で製造した7つのOリングにより、アセンブリ全体の部品をシールします。自動車分野の伝説的イノベーターであるMatti Holtzberg氏の率いるPolimotor 2プロジェクトは、2016年後半の自動車レースに向けて、次世代型のオールプラスチック製エンジンを設計し製造することを目指しています。ソルベイは、大きな期待の集まるPolimotor 2技術プロジェクトの主要スポンサーとして製品を提供しています。

「フューエルレールとOリングの用途では、高度な性能を備えた材料が求められる一方で、比類のない広いラインナップを誇るソルベイの特殊ポリマーのおかげで、さまざまなソリューション候補を検討することができました。」とHoltzberg氏は述べています。Holtzberg氏は、フロリダ州ウェストパームビーチに拠点を置くComposite Castings社のPresidentでもあります。「アモデル® PPAの一部のグレードにも、フューエルレールでの金属代替材料として適しているものがありますが、ライトン® XK2340 PPSのほうが、高温での耐薬品性と寸法安定性のバランスが優れていると感じました。一方、テクノフロン® VPL製のOリングは、高温でのシール性能が優れているばかりでなく、極端な低温でも優れた柔軟性と耐燃料油性を維持します。」

オールプラスチック製エンジンを開発するPolimotor 2プロジェクトは、燃料噴射アセンブリのシーリングに用いる7つのOリングの材料として、ソルベイのテクノフロン® VPL 85540フルオロエラストマー(FKM)を採用しました。この製品の優れた低温柔軟性により、Polimotor 2エンジンの Oリングは高圧下でも確実に設計上の機能を保ちます。

オールプラスチック製エンジンを開発するPolimotor 2プロジェクトは、燃料噴射アセンブリのシーリングに用いる7つのOリングの材料として、ソルベイのテクノフロン® VPL 85540フルオロエラストマー(FKM)を採用しました。この製品の優れた低温柔軟性により、Polimotor 2エンジンの
Oリングは高圧下でも確実に設計上の機能を保ちます。

高圧にさらされると、FKM材料のガラス転移温度(Tg)は上昇します。たとえば、通常の大気圧条件でTgが-10°Cの標準的な耐燃料油性FKMの場合、1,000 barの高圧環境ではTgが+10°Cに変化します。実用面で、このTgの変化は材料の柔軟性やシール性能に悪影響を与え、レース用自動車エンジンの性能上の問題につながる可能性があります。特に、スタート時の条件が低温である場合には、その可能性は大きくなります。ソルベイのテクノフロン® VPLシリーズは超低温パーオキサイド加硫FKMグレードで、あらゆるフッ素エラストマーのなかでもっとも優れた低温での柔軟性と最高の耐燃料油性を備えています。具体的には、テクノフロン® VPL 85540の-40°CというTgにより、Polimotor 2エンジンのOリングは高圧下においても確実に設計上の機能を保ちます。

金型の製造と、ソルベイのライトン® XK2340、40%ガラス繊維強化PPSコンパウンドの射出成形によるフューエルレールの製造は、Molding Concepts社(ミシガン州Sterling Heights)が担当しました。その名が示すとおり、フューエルレールは、燃料をPolimotor 2エンジンの4つの噴射ノズルへ運ぶ役割を担います。従来のレース用自動車や量産車では、この部品には通常、6つの部品を溶接したスチール製アセンブリが用いられます。しかし、スチールの代わりに高機能熱可塑性樹脂を使用すれば、フューエルレールを一つの部品として射出成形できるだけでなく、部品の重量を25~30%軽くすることが可能です。

標準的なポリアミドやソルベイのアモデル® ポリフタルアミド(PPA)も金属代替材料となりえますが、Polimotor 2チームはライトン® XK2340 PPSの採用により、高温および高圧下での寸法安定性とアルコールベースの燃料に対する耐薬品性を向上させることができました。また、ソルベイのPPSグレードは流動性が高いため、フューエルレールの薄肉部分を簡単に成形でき、バリとサイクル時間も最小限に抑えます。

「ソルベイの高機能製品、アモデル® およびライトン® は、いずれも部品統合によって射出成形工程が一度で済むと同時に、金属代替により自動車を軽量化する、という選択肢を広げます。しかし、Polimotor 2エンジンには、ライトン® XK2340 PPSの持つ、より優れた高温での耐薬品性と寸法安定性が必要だと感じました。」とソルベイスペシャルティポリマーズのglobal automotive business development managerであるBrian Baleno氏は述べています。「また、広範な使用温度領域を持つテクノフロン® VPL 85540 FKMは、Polimotor 2エンジンの燃料噴射装置のOリングの信頼性を確保するうえで、理想的な選択肢といえます。」

商用車のデザイナーも、ソルベイの高性能FKMへの関心を高めています。というのも、エンジンの小型化とトランスミッションの高ギア比化が進むのに伴い、最先端の量産エンジンおよびトランスミッション内部の温度と圧力が上昇しているためです。また、そのほかの要因として、自動車アセンブリがあらゆる環境や気候で性能を発揮するための材料が求められていることも挙げられます。ソルベイのテクノフロン® VPLグレードは、ガソリン直噴装置で用いられるOリングのほか、ターボ、トランスミッション、エンジンシステムでの使用にも適しています。

Polimotor 2プロジェクトは、現在製造されている標準的なエンジンよりも約41 kg軽量となる、63~67 kgのオールプラスチック製DOHC4気筒エンジンの開発を目指しています。このHoltzberg氏の画期的なプロジェクトでは、ソルベイの高度なポリマー技術を活用したエンジン部品を10種類ほど開発する予定です。今回のフューエルレールとOリングのほか、ウォーターポンプ、オイルポンプ部品、ウォーターインレット/アウトレット、スロットルボディ、オイル除去ライン、その他の高機能部品などの開発が予定されています。使用される予定のソルベイ製品としては、ライトン® PPSとテクノフロン® VPL FKMのほか、アモデル® ポリフタルアミド(PPA)、アバスパイア® ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、キータスパイア® PEEK、レーデル® ポリフェニルサルホン(PPSU)、トーロン® ポリアミドイミド(PAI)などがあります。

® ライトン、テクノフロン、アモデルはソルベイの登録商標です。