SABIC、 三井化学よりTDI・MDI製造技術のライセンス供与 ポリウレタン事業において世界的リーダーシップを狙う

SABIC副会長兼CEOムハンマド・アルマディ(中央右)と三井化学代表取締役社長、田中稔一(中央左)[東京]  2012年3月6日 – サウジ基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corporation、以下SABIC)は、三井化学株式会社(以下三井化学)とTDI及びMDIの製造技術ライセンス供与契約を締結した。これはSABICがポリウレタンで世界の主導的立場を目指し、顧客に付加価値のあるサービス、ソリューション、そして製品を提供していくという戦略に沿ったものである。この契約のもと、三井化学は、ポリウレタンの原料であるTDI及びMDIの製造技術を提供し、TDI/MDIに関する共同技術開発も行う。

同契約の署名は、2012年2月26日にサウジアラビア・リヤドのSABIC本社にて、SABIC副会長兼CEOモハメッド・アルマディ及び三井化学代表取締役社長、田中稔一氏により執り行われた。

アルマディは、この契約はポリウレタン事業での協力の可能性を検討する両社の戦略的協業の第一歩となると強い展望を表明し、「この契約は世界のポリウレタン市場に力強く進出するという我々の戦略的事業計画を加速させるものであり、我々の顧客にとっても長期にわたりその将来的計画や競争力を実現するものとなると考える。また、サウジアラビアでのポリウレタン関連産業、特に雇用促進と省エネルギーに貢献する断熱用途等の分野での急成長を可能にするものである。」とコメントした。

アルマディは、また三井化学がTDI及びMDIの製造について長期にわたる経験を有し、製造技術の先駆者としての立場にあることについても言及し、「今回のライセンス供与契約を通じて高品質のTDI及びMDIを獲得することで我々の製品能力を強化し、ポリウレタン事業に進出することになります。」と付言する。

一方、三井化学の田中社長は、「三井化学にとって今回のライセンス供与契約は過去最大規模のものとなります。当社は、このプロジェクトを各方面において全力でサポートし、その成功を確かなものにする所存です。この契約は、今後のSABICとの業務提携関係の最初のステップとなることを望んでおり、将来的には競争力のあるTDI/MDIの戦略的供給拠点の設立も考えております。」と言及する。

ポリウレタンは、弾力性、柔軟性、耐久性に富んだ素材で、あらゆる分野での多種多様な用途において塗料、綿、ゴム、金属、木材等の代替材料の有力候補である。産業別では、建築/建設、自動車/輸送機器、家具/寝具、スポーツウエア/靴、食品包装、コールドチェーン(低温流通)/冷蔵、家電等様々な分野に使用することができる。ポリウレタンの利点は、強度と柔軟性、用途の多様性、剛性/硬度の可変性、および高機能等が挙げられる。

 

Saudi Basic Industries Corporationについて
Saudi Basic Industries Corporation (SABIC:サウジ基礎産業公社)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、および他の先進的な熱可塑性樹脂、グリコール、メタノール、ならびに肥料のメーカーとして世界市場をリードする企業である。SABICは2011年にはSR 292.1億(77.9億米ドル)の純利益を計上、総売上はSR 1,900億(506.7億米ドル)に上る。SABICの事業は化学、ポリマー、高機能ケミカル、肥料、金属、イノベーティブプラスチックスにより組織している。SABICは世界中に多くの研究施設を持ち、サウジアラビア、米国、オランダ、スペイン、日本、インド、及び韓国に17のテクノロジー・イノベーションセンターを配置している。SABICは世界40か国以上で事業展開し、33,000人の従業員を擁している。また、サウジアラビア、米州、欧州、およびアジア太平洋地域に世界的規模の製造拠点を持つ。サウジアラビア・リヤドに本社を置くSABICは1976年に、サウジ政府による石油産出時に生成する炭化水素ガスを化学品、ポリマー、及び肥料製造利用するという決定に伴い設立。株式は、サウジ政府が70%を所有、30%はサウジアラビア及び湾岸協力会議参加国の投資家が所有している。