ビクトレックス社、 東芝機械社と共同でAPTIV®フィルムへの 超微細レーザ加工技術を確立

深さ3μmのポケット形状が超微細レーザ加工されたAPTIVRフィルム(8μm厚)顕微鏡写真樹脂フィルムへの高品質な超微細加工

2011年8月25日 – VICTREX® PEEK™樹脂およびVICOTE®コーティング(ヴァイコート)、APTIV®フィルム(アプティブ)をはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)は、各種産業機械を手掛ける東芝機械株式会社(取締役社長:飯村幸生、本社:静岡県沼津市、以下東芝機械)と協力し、VICTREX PEEK樹脂を原材料とする高機能熱可塑性APTIVフィルムの表面に、機械加工や化学処理では実現困難な10~50μm程度の微細形状を超短パルスレーザーで加工する技術を確立した。

今後両社では幅広い産業分野に向けて同技術を紹介し、用途の開拓を進めていく意向である。また特に、半導体デバイスの実装に用いるTAB(テープ・オートメーティッド・ボンディング)やCOF(チップオンフィルム)、FPC(フレキシブルプリント基板)のパターン加工など、半導体実装分野においてエッチングを使わずにフィルム表面に超短パルスレーザーでパターンを加工し銀ペーストなどを流して回路を形成するといったIC実装面積の省スペース化に貢献する新しい回路形成技術としての需要も期待している。

東芝機械はビームのスポット径が5~20μmのピコ秒レーザを用いて、金属製や樹脂製基板の表面に溝やポケット状の穴などを直接加工する技術を開発しており、今回は同技術を樹脂フィルムに適用したものである。これまで東芝機械では同技術を用いた樹脂フィルムへの超微細加工の実用化を検討してきた。しかしながら、PETやアクリルなどの一般的な樹脂フィルムでは耐熱性に難点があり、加工時のレーザの熱によってフィルム自体に歪みが生じるため加工精度の点で課題を抱えていた。このため同社では様々な高機能性樹脂フィルムを検討し加工試験を行った結果、耐熱性に優れるAPTIVフィルムが同社の加工技術で熱影響の出ない加工が可能であることを確認した。

同技術の開発を進める東芝機械の技術統括部は「APTIVフィルムが超微細レーザ加工に適している主な理由は耐熱性です。厚さが8μmの極薄フィルムでも、その表面に深さ3~4μmの微細形状を成形することが可能です。」と話している。

APTIVフィルムは、原材料であるVICTREX PEEK樹脂のもつ優れた性能を有し、種々の用途の高性能化、小型化、さらに耐久性や信頼性の向上を可能にすると共に、デザインの自由度を上げ、システムコストの低減に貢献する。APTIVフィルムは、結晶フィルムの1000シリーズおよび非晶フィルムの2000シリーズをはじめとする多様なグレードが用意されている。両シリーズ共に顧客アプリケーションの要求特性によって、ナチュラルグレードもしくは充填材を配合した強化グレードが利用可能である。APTIV 1000シリーズは最小肉厚8μmから製品が取り揃えられており、市場で入手可能なPEEK樹脂フィルムとしては最も薄い製品である。


東芝機械社について:
東芝機械グループは、射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機、工作機械、精密加工機、微細転写装置、産業用ロボット、電子制御装置、油圧機器などの開発・製造・販売およびそれらのレトロフィット・アフターサービスを通して「世界No.1の機械メーカー」をめざしている。
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