EVバッテリーモジュール用の高耐熱絶縁材料、新規液晶ポリマー(LCP)を開発

  • 「ザイダー® LCP G-330 HH」は、バッテリーの熱暴走時における乗客の安全性を確保することを目的に開発された高耐熱液晶ポリマー

ジョージア州アルファレッタ、2023323 – スペシャルティポリマーのグローバルマーケットリーダーであるソルベイは、EVバッテリー部品に求められる安全性要求に応えるため、同社のザイダー®液晶ポリマー(LCP)ポートフォリオに、高耐熱性と難燃性を備えた新規グレードを開発したことを発表しました。新グレードの「ザイダー® LCP G-330 HH」は耐熱性および絶縁性に関する厳しい要求に応え、特に高電圧システムで動作するEVバッテリーのモジュールプレート用途に適した材料です。

ソルベイ_EVバッテリーモジュール向け新規液晶ポリマーを開発ソルベイで自動車部門のマーケティング責任者を務めるBrian Balenoは「自動車メーカーは、次世代電気自動車の開発において400Vから800Vへとバッテリーの高電圧化を進めています。一方で、欧州、中国、米国などの新しい規制では、バッテリー部品に300°Cから1000°Cの温度環境で最大15分間の耐久性を求められています。このためバッテリー部品の材料には、万一、熱暴走が発生した場合においても、乗客が車両から脱出する時間を確保できる一定の電気絶縁保護の保持が期待されています。ソルベイの新しいザイダー® LCPは、こうした用途に対応する高い安全性と優れた加工性を兼ね備えています」と話しています。

ザイダー® LCP G-330 HHは、400°Cに30分間さらされた場合でも電気絶縁性を保持することができるガラス繊維強化の射出成形用LCPグレードです。ザイダー® LCPは本質的に難燃性であることから、ハロゲン系および臭素系の難燃剤を使用していません。また、本製品は流動性に優れることから、ポリカーボネートやエアロゲルといった従来のバッテリーモジュール用絶縁材料では難しかった薄型化を実現することができ、100 x 150 x 0.5mmの大きさに射出成形したプレートを用いて試験をクリアしています。

ソルベイのザイダー® LCPは、さまざまな電気・電子機器やコーティング用途への適合性が実証されています。これまで、車載照明部品、センサー、ソレノイドやコネクター部品などに加え、e-モビリティの先進事例として、電気駆動用トラクションモーターのローターに用いられる薄肉スロットライナーなどにも採用実績があります。

ザイダー® LCP G-330 HHは、ソルベイのバッテリーソリューションに向けたポートフォリオを拡張するもので、この他の製品には、バインダーとセパレータ用のソレフ® PVDF、冷却水ラインのコネクターとベント用のライトン® PPS、コネクターとバスバー用のアモデル® PPAなどがあります。

ソルベイの最新製品と取り組みについては、4月17日~20日に中国の深圳で開催されるChinaplasの弊社ブース17P61にてご紹介いたします。ご来場を心よりお待ち申し上げております。

アモデル®、ライトン®、ソレフ®、ザイダー®は、ソルベイ社の登録商標です。