SABIC、ハロゲンフリー難燃性のLNP™ THERMOCOMP™コンパウンドを発表、EVCUの安全性と保護性能を向上

日本・東京、2025年8月18日 – 化学業界のグローバル・リーダーであるSABICは、非臭素/非塩素系の難燃性(FR)を備え、電気自動車制御ユニット(EVCU)をはじめとする重要部品の安全性と機能性の向上に寄与する「LNP™ THERMOCOMP™ WFC061Iコンパウンド」を発表した。2025年度のエジソン賞を受賞したこの新しい特殊材料は、EVCUなどのハウジング用途に最適であり、優れた構造性能によってハウジング内部に収められた電子部品を火炎・煙・衝撃・湿気などから保護することができる。

SABICのLNP THERMOCOMP WFC061Iコンパウンドは、難燃性ポリブチレンテレフタレート(PBT)をベースとしたガラス繊維強化コンパウンドであり、EVCUのハウジングに金属代替材料として用いることで、大幅な軽量化と設計自由度の向上を実現する。また、ハロゲン系添加物を使用したFRポリマーの代替により、環境への影響を軽減できる。さらに、この新しいコンパウンド材料は、優れた着色性や低反り性による生産性向上に加え、精密なレーザー溶着を可能にする高い光透過率を備えている。

SABICのスペシャリティー事業部でAPAC地域フォーミュレーション&アプリケーション担当ディレクターを務めるJenny Wangは、「EVの電気システムを管理し、最高の効率性と安全で快適な運転環境を確保するEVCUは、高性能材料によって支えられています。こうした特殊樹脂には、難燃性、強度、安定性、軽量性に加え、精密な製造プロセスへの対応力が求められます。SABICは、自動車のパワーエンジニアリングに関する最新動向や技術要件に対する幅広い知見に基づき、EVCUの保護性・信頼性・機能性の最適化を支援するために、新しいLNP THERMOCOMP WFC061Iコンパウンドを開発しました。」と述べている。

レーザー溶着による製造の効率化

SABICのLNP THERMOCOMP WFC061Iコンパウンドは、2つのプラスチック部品を接着剤、化学薬品、固定具や振動を用いずに接合するレーザー溶着技術に不可欠な高い光透過率(3.0mm厚で20%)を備えている。レーザー溶着は、LNP THERMOCOMP WFC061Iコンパウンドのようなレーザー光を透過する透過性樹脂と、レーザー光を吸収する吸収性樹脂の2つの材料の接合に用いられる。これは、部品に照射されたレーザーエネルギーが透過材を通過して吸収材の表面に到達し、2つの材料の界面で熱を発生させプラスチックを溶融させることで、2つの部品を接合する技術である。レーザー溶着に対応するLNP THERMOCOMP WFC061Iコンパウンドは、組み立て工程の高速化と簡素化を可能にし、時間短縮と生産性向上の実現に寄与する。

現在、LNP THERMOCOMP WFC061Iコンパウンドは世界中で入手可能である。

本製品が受賞したエジソン賞は、毎年発表される国際的な賞であり、新製品や新サービスの開発、マーケティング、デザイン、イノベーションにおける優れた業績を表彰するものである。2025年度の受賞者は、2025年4月2日に発表されている。