- SABICは、PCIM Asia 2025でELCRES™ HTV150誘電体フィルムに関する講演を実施し、この薄膜フィルムを用いたニチコン社製コンデンサのディレーティングに関する試験結果を発表。
- ELCRES HTV150フィルムを使用した高電圧コンデンサは、150°Cまでの高温環境でも最小限のディレーティングで動作可能。
日本・東京、2025年9月2日 – 化学業界のグローバル・リーダーであるSABICは、2025年9月24日から中国・上海で開催されるPCIM Asia 2025(ホールN5、ブースF03)に出展し、電気自動車(EV)のインバータなど要求の厳しい用途で使用されるコンデンサに最適な薄膜ELCRES™ HTV150誘電体フィルムを展示紹介する。通常、コンデンサは高温環境で動作電圧が低下するため、定格よりも低い電圧で使用(ディレーティング)する必要がある。これに対し、SABICの特殊誘電体フィルムを使用した先進的なコンデンサは、ディレーティングを最小限に抑えながら150°Cまでの高温環境で動作することができる。このフィルムの性能についてSABICは、展示会期間中に2つの技術講演を実施し、ディレーティングに関する最新の試験結果を発表する。
SABICのスペシャリティー事業部でバイスプレジデントを務めるSergi Monrosは、「高電圧化は、コネクターやコンデンサからワイヤーやケーブルに至るまで、さまざまな電気用途において共通の開発テーマとなっています。高電圧化は稼働効率の向上に寄与する一方で、いくつかの課題も伴います。SABICはこれらの課題解決に向けた取り組みをリードし革新を続けています。SABICの高機能材料は高電圧、高温、過酷条件下においても優れた性能を発揮し、お客様による次世代電動化部品の開発を支援しています」と話している。
フィルムコンデンサのディレーティングを最小化
フィルムコンデンサが高温にさらされた場合、動作電圧が大幅に低下する可能性がある。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムで作られたコンデンサの動作電圧は125°C以上で最大50%低下する可能性があり、これを補うにはより厚いフィルムを用いる必要がある。これに対し、日本の大手コンデンサメーカーであるニチコン社が実施した最新のテストでは、SABICのELCRES HTV150誘電体フィルムを用いた同社製コンデンサの場合、ディレーティングを非常に低く抑えられる(130°Cで4.8%、150°Cで14%)ことが示された。
ニチコン社によるこれらのディレーティングに関する試験結果については、2025年9月25日(木)午前11時40分から午後12時(CST)に開催されるE-モビリティ・セッションにおいて、SABICのチーフサイエンティストであるAdel Bastawros博士が「動作電圧のディレーティングを最小限に抑える高耐熱DCリンクコンデンサ用HTV150誘電体フィルム」と題した講演で詳細を発表する。また、同氏は9月26日(金)午後12時15分からの技術会議において「DCリンク用途向け高温対応コンデンサの電圧ディレーティング挙動)」と題した講演も予定している。
多様な電気用途向けソリューション
ELCRES HTV 150誘電体フィルムに加え、SABICでは高い比較トラッキング指数(CTI)を有する製品としてULTEM™樹脂、NORYL™樹脂、LNP™コポリマーおよびコンパウンドも提供している。CTIの高さは、過酷な環境条件や高電圧にさらされる電気部品において非常に重要な特性である。
PCIM Asia 2025は、2025年9月24日から26日まで中国・上海で開催される。