日精樹脂工業、ドイツ市場での事業展開を本格強化

  • 持続可能な成形技術の研究と欧州市場体制の強化を両軸に

[K2025実演の様子]

日精樹脂工業株式会社(本社:長野県坂城町、代表取締役社長:依田穂積)は、欧州市場、特に環境技術と成形加工の拠点であるドイツにおける事業展開を一層強化しています。当社は2025年11月より、ドイツ・アーヘン工科大学IKVとの国際共同研究を開始し、同時に欧州グループ会社であるNegri Bossi S.P.A(本社:イタリア・ミラノ)のドイツ拠点では、市場経験豊富なエキスパートであるトーマス・ストレッカー氏を迎えました。これにより、ドイツ市場で販売体制を一段と強固なものにし、研究開発と市場基盤の両面から欧州戦略を加速させています。

[コア層にリサイクル材を用いたサンドイッチ成形、ロボットによる自動化、AIによる良否判別、非接触搬送などを実演した]

ドイツはプラスチック成形技術の開発が集中し、環境規制と循環型経済への移行が最も進む地域であり、高度な金型・自動化技術を持つ企業が集積した世界有数の成形関連市場です。日精樹脂工業は、この地を「未来の成形技術が生まれる場」と捉え、持続可能な技術開発と市場競争力の強化を目的に、研究・人材・組織への投資を積極的に進めています。

① IKVとの国際共同研究:循環型社会に向けた技術開発が本格始動

日精樹脂工業は、2025年11月よりアーヘン工科大学IKVと共同で、プラスチックの環境循環をテーマにした研究プロジェクトを開始しました。研究開始に先立ち、10月に開催されたK2025では、本研究の骨子となる技術デモンストレーションを行い、欧州の関係者から大きな注目を集めました。

[アーヘン工科大学IKV(Kunststoffverarbeitung研究所)]

この共同研究では、リサイクル樹脂の高精度成形技術の確立や、サンドイッチ成形プロセスの最適化、さらにリサイクル材の物性分析を通じた適用分野の拡大、AIを活用した不良ゼロ化と工程最適化など、脱炭素化と資源循環を同時に進める実用的な技術の確立を目指しています。2025年10月には欧州向け電気式射出成形機「NOVA5e180T」をIKV研究ラボに設置し、実機を用いた評価と検証がすでに進行しています。

本研究は、日精樹脂工業が掲げるサステナビリティ戦略の中核であり、環境負荷の小さい循環型社会の実現に向けた技術革新を、欧州の研究機関および金型メーカー・制御機器メーカーとの協業を通じて推進する取り組みです。

② Negri Bossiドイツ拠点の体制強化:エキスパート採用による市場対応力の向上

[トーマス・ストレッカー氏]

欧州での市場基盤強化に向け、グループ会社のNegri Bossi は2025年9月にトーマス・ストレッカー氏を迎えました。同氏は金型製作を原点とし、射出成形機および自動化ソリューションに関する長年の経験と深い業界知識、高い技術理解を持つ人物で、ドイツにおける顧客サポートと市場展開の強化に大きく寄与することが期待されています。

その広範なネットワークと技術的な知見により、ドイツ国内での営業活動、技術要求の高いプロジェクト対応、顧客企業との長期的な関係構築がさらに進み、Negri Bossiの事業基盤が一層強固なものになります。また、金型・成形・自動化を一体で提案できる体制が拡充されることで、欧州の厳しい品質基準や特注仕様への対応力も向上し、顧客の多様なニーズに応える体制が整いました。

日精樹脂工業は、IKVとの共同研究で得られる知見を将来の製品開発に反映させるとともに、Negri Bossiの体制強化を通じて欧州市場での顧客支援を拡充し、持続可能な成形技術の実現に向けた取り組みをドイツから世界へ発信していきます。研究開発と市場接点の両輪が同時に進むことで、欧州での成長基盤はさらに強化され、循環型社会の実現に向けた貢献をより確かなものとしてまいります。