英ビクトレックス社、高機能熱可塑性VICTREX® PEEK™樹脂を原材料とする軽量かつ耐久性に優れたVICTREX® Pipes™を発表

  • 高耐熱性に加え、卓越した耐腐食性および耐摩耗性を発揮
  • 石油・ガス産業をはじめとする過酷な環境下での使用に最適
高機能熱可塑性VICTREX® PEEK™樹脂を原材料とするVICTREX® Pipes™

高機能熱可塑性VICTREX® PEEK™樹脂を原材料とするVICTREX® Pipes™

2011年7月28日 – VICTREX® PEEK™樹脂、VICOTE®(ヴァイコート)コーティング、APTIV®(アプティブ)フィルムをはじめとする高機能性材料を製造・販売する英国ビクトレックス社(社長:デビット・ハメル、本社:英国ランカシャー州)は、近年、過酷な環境用途に向けた高性能パイプ製品の需要が増加していることを受け、新たにVICTREX® Pipes™(ビクトレックス・パイプ)シリーズを発表した。
また同社日本法人のビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)では、7月末よりVICTREX Pipes製品の国内販売を開始する。

VICTREX Pipesは、石油・ガス産業において抽出や移送のための配管システムに用いられている耐腐食性合金(CRAs:Corrosion Resistant Alloys)の代替を目的に開発された製品であり、VICTREX Pipesをライニング管の内張りに用いることで、CRAsを他の金属材料へ置き換えることが可能となる。

VICTREX Pipesは、ビクトレックス社の長きに渡る素材および技術革新が生み出した最新製品である。ビクトレックス社のパイプ製品担当ビジネスリーダーであるジェームス・シモナイトは、「VICTREX Pipesは6年間に及ぶ徹底的な調査、開発、市場評価および顧客連携の結果と言えます。VICTREX Pipesは石油・ガス産業をはじめ一般工業、航空宇宙、電気被覆製品や電線管といった幅広い用途において、従来の配管材料を上回る性能面でのソリューションを提供します。」としており、また「ビクトレックス社は、主要なマーケットにおける課題を把握し、ソリューションを提供できる企業として評価頂いております。VICTREX Pipesは、こうした当社の技術開発力を証明する製品であり、高温環境下において、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性、耐透過性といった様々な特性を軽く柔軟な形状で提供します。」と話している。

このたび発表したVICTREX PEEKの押出パイプおよびチューブ製品シリーズは、高耐熱性や耐腐食性および軽量化が可能といった、原材料であるVICTREX PEEKの優れた特性が活かされている。VICTREX Pipesは石油・ガス産業における高温、高圧、腐食といった苛酷な稼働環境における長期信頼性を提供することで、新たな用途に対する適用の可能性を拡げることとなる。VICTREX Pipesは、これまで以上に過酷な環境となることが予測される石油・ガス産業の新規油田やガス田の開発に加え、軽量化による燃費効率の向上を求める航空宇宙産業、腐食や高温および電気特性などに対する厳しい特性が求められる各種産業分野などに向けて新たなソリューションを提供する。

VICTREX Pipesシリーズのサイズは、外径が6mmから200mmまでで、肉厚は外径により0.8mmから5mmの製品が用意されている。これらは直管(ストレートパイプ)および、小径のパイプについてはコイル状で最長3,000mの製品が利用できる。また原材料にVICTREX PEEKを用いているため、様々なコネクタや接着剤および一般的な溶接装置を利用した接合が可能である。さらにVICTREX Pipesは、適切な機器を利用することでレーザ・マーキングにも対応する。

シモナイトは「製品設計においては、期待される実装性能や苛酷な稼働環境への適応といった点から、材料選択が益々重要となっています。」としており、また「金属製ライニング管の内面にVICTREX Pipesを用いることで、硫化水素(H2S)、メタン、炭酸ガス、塩水や原油が存在し140°Cを超える稼働環境が一般的な石油・ガス産業などの要求の厳しい用途において、既存の高価なCRAs材料に替わる選択肢となります。例えば、原油掘削においては、これまで以上に地中深く掘り進めるには、より過酷な環境に耐えられる素材が必要です。」とコメントしている。

「試験結果では、VICTREX PEEKの押出成形によるパイプおよびチューブが、高温環境下でのH2Sに対して優れた耐薬品性を持つことを示しています。加えて、200°Cの蒸気に2,000時間さらされても影響は受けませんでした。」としており、また「石油・ガス産業用途においては、これまでのスチール製パイプはH2Sや炭酸ガスによって深刻な腐食の影響を受けますし、既存の熱可塑性プラスチック製品は熱に対する耐久性能が限界に近づいています。VICTREX Pipesの卓越した耐薬品性および非常に低い透過性は、こうした過酷な用途に最適です。」と述べた。

VICTREX PEEKを用いたVICTREX Pipesは、軽量でハロゲン・フリーであることに加え、発煙および有毒ガスの発生が低レベルなことから、航空宇宙産業における厳格な安全、品質、性能規定を満たすだけでなく、従来の金属材料と置き換えることで大幅な軽量化にも貢献する。

加えてVICTREX Pipesは電気絶縁、機械的安定性、疲労強度、耐薬品性や耐腐食性、高温環境下での耐加水分解性といった特性により、化学産業や地熱および鉱山施設における腐食や高温環境、そして電気および工業被膜分野における絶縁や保護といった産業用途における多くの性能要件に対するソリューションを提供する。

またビクトレックス社は、自社内にVICTREX PEEKを用いたパイプおよびチューブ専用の押出成形ラインを設置している。同社は、こうした完全に統合されたサプライチェーンを保有することで原材料から最終製品までを製造し、製品の品質、供給、一貫性や性能を確保している。

ビクトレックス社は今後も顧客と協力し、航空宇宙、自動車、石油・ガス、エネルギー、エレクトロニクスおよび一般工業分野に向けた製品の開発を進めていく。これまでも同社は金属代替やコンポジット、優れた摩耗耐性が求められる用途に向けて、数多くの革新的な製品や技術ソリューションを世界のマーケットに提供している。特に同社VICTREX PAEK(ポリアリルエーテルケトン:PEEK、PEK、PEKEKKなどの総称)製品群は成長を続けており、2011年度上半期の売上高は前年比22%上昇している。今日まで同社の製品ラインアップは樹脂およびパウダー、APTIVフィルムそしてVICOTEコーティングであったが、これに今回VICTREX Pipesが加わることで、石油・ガス、航空宇宙や一般工業といった分野における高性能樹脂の用途が拡大するものと期待している。

VICTREX Pipesシリーズの発表は、多くの実績を有する高機能VICTREX PAEK製品を通じて、革新的かつ独自ソリューションの提供に向けた同社の継続的な取り組みの新たなステップとなるものである。