VICTREX® PEEK™樹脂、航空宇宙産業で求められる耐薬品性の試験を実施 ジェット燃料や作動油等の過酷な薬品環境下における 軽量化および製品の長寿命化に貢献

VICTREX PEEK樹脂を用いたアンフェノール社の航空機用途向けPクランプ2011年6月29日 – 航空機用途向け樹脂材料には、燃料コストの低減に向けた軽量化、卓越した機械強度や寸法安定性、そしてFST(Flame、Smoke、Toxicity)に関する業界基準や規格への適合が求められている。高機能熱可塑性VICTREX® PEEK™樹脂は、これらの要件に加え、他の厳格な要求特性を満たすことから、様々な航空機用途において金属代替材料として採用が進んでおり、その優れた製品特性と加工の柔軟性から、高効率化および部品集約化によってコスト低減に貢献している。さらにVICTREX PEEKは優れた高耐熱性および難燃性に加え、ジェット燃料や油圧液体といった過酷な薬品環境においても、その優れた特性を維持することからも、航空宇宙産業において注目されている。

VICTREX PEEK樹脂の耐薬品性に関して、VICTREX PEEK樹脂およびVICOTE®コーティング(ヴァイコート)、APTIV®フィルム(アプティブ)をはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)は、インターコネクト製品の大手メーカーである米Amphenol(アンフェノール)社が、VICTREX PEEKを用いた同社製品に対して航空機に求められる耐薬品性に関する試験を実施、良好な結果が得られたことを明らかにした。

このたびアンフェノール社では、ガラス繊維強化VICTREX PEEKを用いて射出成形した同社のPクランプ製品を航空機用Jet-A燃料に室温で12ヶ月間浸漬する試験を実施した。その結果、ジェット燃料に浸漬したVICTREX PEEK製サンプルには、軟化や膨張、オーバーモールドされたフロロシリコン製クッション材の接合部に視認可能な問題点は無く、またクッション材の接合および保持力に関する試験においても基準を満たすなど、VICTREX PEEKの優れた耐薬品性をあらためて実証する結果が示された。さらに、ジェット燃料へ浸漬後のPクランプ・サンプルの極限強度は、設計極限荷重の556Nよりも高く、サンプルの平均極限荷重は設計荷重よりも28%高い数値を示した。

アンフェノール社で上級設計エンジニアを務めるジョセリン・ベランジャーは「VICTREX PEEKはジェット燃料への浸漬後も本来の特性を維持し、ワイヤハーネス、燃料や油圧ホースを固定するPクランプが使用される燃料タンク環境においても、その優れた強度や耐薬品性を保持可能なことが示されました。」とコメントしている。

ビクトレックスジャパンの前薗宏隆は「当社において、VICTREX PEEKコンパウンドを70°Cの航空機用作動油Skydrol(スカイドロール)*に1,000時間浸漬した試験では、物性の変化が10%以下に留まったという結果が示されています。また、こうした試験結果は、VICTREX PEEKが過去20年にわたり商業用および軍事用航空機における油圧および燃料システムに継続採用されてきたことによっても裏付けられます。VICTREX PEEKは酸、塩基、炭化水素に対して卓越した耐薬品性を示すことから、製品の長寿命化に貢献します。」と話している。

VICTREX PEEK樹脂は耐薬品性や低比重といった高機能特性により、航空宇宙業界における金属や従来の熱硬化性コンポジットおよび他樹脂の代替材料として数多くの用途に採用されている。VICTREX PEEK樹脂は、次世代の商業用、軍事用および先進的な航空宇宙機における部品やアセンブリの開発に求められる高い設計自由度を提供する。またビクトレックスは世界市場において充実した供給体制を構築しており、様々な航空宇宙用途向け製品に適した高機能樹脂を求めるエンジニアに対し、高機能VICTREX PEEK樹脂を安定して供給することができる。

*スカイドロール(Skydrol)は、米ソルーシア社(Solutia Inc)の商標。


Amphenol社について:
米マサチューセッツ州に本社を置くアンフェノール社は、世界市場におけるインターコネクト業界のリーディング・カンパニーである。同社は、電気電子および光ファイバコネクター、同軸およびフラットケーブル、各社インターコネクト・システムの設計、製造、マーケティングを手掛けている。
www.amphenol.com