VICTREX® PEEK™樹脂、中国Wuxi Shuangling社の安全性および高信頼性が求められる 自動車エンジンの真空ポンプ部品に採用

VICTREXR PEEK?樹脂を用いた中国Wuxi Shuangling社製真空ポンプのベーン部品PPS樹脂の代替により信頼性向上と耐用年数の延長に貢献

2011年5月18日 – VICTREX® PEEK™樹脂、VICOTE®コーティング(ヴァイコート)、APTIV®フィルム(アプティブ)をはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)は、中国の大手自動車部品メーカーであるWuxi Shuangling Electrical-apparatus Factory社(無錫双電器店、本社:中国江蘇省無錫市)が、同社製真空ポンプのベーン部品素材にVICTREX® PEEK™樹脂を採用したことを明らかにした。

真空ポンプはブレーキブースターを介したブレーキアシスト機能を提供するために使用される自動車部品である。VICTREX PEEK樹脂を用いたベーン部品は長城汽車、江鈴汽車、上海汽車、華泰汽車といった中国トップ自動車メーカーのディーゼルエンジンおよび直噴ガソリンターボエンジン向けロータリーベーン真空ポンプに使用されている。

同社のロータリーベーン式真空ポンプは負圧(0.9bar)をブレーキブースターに供給し、ドライバーが制動に必要なペダル踏力を低減することでブレーキシステムの全体的な安全性と効率性向上に貢献している。真空ポンプの性能面における欠陥や劣化は、自動車の制動性能に悪影響を及ぼし事故に通じる可能性があり、車の使用期間中における真空ポンプの性能と信頼性は非常に重要な設計要件となっている。このため自動車メーカーでは、真空ポンプの信頼性と性能を確保するため厳しい要件を確立している。

ベーン部品および素材に求められる特性
ロータリーベーン真空ポンプにとっては耐摩耗性が益々重要となっており、速度と温度の上昇によって潤滑剤を用いた機械ポンプにおいても材料の負荷は着実に増加している。使用期間中の環境と作動条件において、ベーン部品を効率的に動作させ続けるために以下の特性が求められている。

  • ベーン先端部分の高耐摩耗性および低摩擦係数
  • 厳密な寸法公差
  • アルミニウムと同等の線膨張
  • 高い比強度

さらに現在、歩行者の安全に関する法規制により、ポンプの搭載位置は油だめ付近へと下げる必要が生じている。これは使用環境温度が100-110°Cから120-130°Cまで上昇することを意味しており、真空ポンプの性能と動作信頼性を確保するためには材料選択が益々重要となっている。Wuxi Shuangling社はビクトレックス社と協力することで、厳しい動作環境でこれらの要件を満たすことができる自動車用アプリケーションにおいて、これまで一般的に使用されてきたポリフェニレンサルファイド(PPS)やグラファイトといった素材よりも高性能なコンポーネントを顧客に提供している。

VICTREX PEEKは、エンジンオイルを含む様々な自動車用液体に対する優れた耐薬品性を持ち、高温環境下においても非常に良好な耐圧縮クリープ性を発揮する。VICTREX PEEKは150°C環境で5,000時間以上にわたり高い機械強度を維持すると共に、機械的および摩擦的な荷重による圧力に対して優れた耐脆弱性を示す。またエンジンオイルの粘度が比較的高いコールド・スタート時(-40°C)においてもスムーズな動作が可能で、その優れた耐摩耗性が耐用年数の延長に貢献するなど、VICTREX PEEKの高い性能は長年にわたる実績によって証明されている。

Wuxi Shuangling社の副総経理である李 回城は「私たちは多くの実績を持つVICTREX PEEKを使用することによって、顧客の競争力向上に貢献する最高品質の真空ポンプと革新的なソリューションを提供できると確信しています。VICTREX PEEKの摺動グレードは低密度なため、コンポーネントの慣性モーメントを低減することができ、高充填PPSなどの他材料と比べCO2排出量の抑制に寄与します。これにより、当社顧客が直面しているCO2削減目標の達成をサポートすることができます。」と話している。

近年、自動車産業では燃料消費量、重量やコストの最小化と同時に、性能や安全の最大化に向けた対応を迫られている。この結果、高耐久性、低コスト、運転快適性や環境性能が研究開発における重要な基準となっている。ビクトレックス社の製品と充実した技術サポートは世界中の自動車部品メーカーに対し、産業界から求められる過酷な材料要件を満たすと共に、製品性能や設計自由度の向上、そして耐用年数の延長を実現する。


Wuxi Shuangling Electrical-apparatus Factory社について:
1992年に設立されたWuxi Shuangling社は先進的な管理体制と技術開発力を活かし、自動車用真空ポンプ、各種オイルポンプ向けソレノイド制御バルブ、高速真空レギュレータEPW、エンジンEGRバルブ、ディーゼルスロットルエンジン、ピストン冷却用オイル噴射バルブといったコンポーネントや部品の開発を手掛けている。同社の主要製品は、Wuxi Changan Weifu Pump Glib Limited(無錫威孚長安油™油嘴有限公司)、長城汽車、上海汽車、江鈴汽車、華泰汽車、Changchai Co., Ltd(常柴)といった多くの車両メーカーやエンジンボディメーカーに供給されている。
Wuxi Shuangling社は、最適化した部品製造ラインに加え、高度な専門検査およびテスト機器を備えている。様々な品質管理手法を統合し2006年にISO/TS 16949:2002の認定を受けた同社の品質管理システムは、新製品開発、生産管理、品質管理といった分野で利点を有している。近年Wuxi Shuangling社は、その急速な発展のため政府から高い評価を受け、江蘇省による「ハイテク企業」および「信頼できる企業」のタイトルを授与されている。
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