SABIC、4種類の高耐熱光学熱可塑性樹脂が初めてZEMAX OPTICSTUDIO®データベースに登録

  • 新たに登録された熱可塑性プラスチックスは、センサーやレンズの設計者に広範な材料オプションを提供

2019年3月20日 – 総合化学品のグローバルリーダーであるSABICは本日、同社の4種類の高耐熱光学熱可塑性樹脂が、光学システム設計ソフトウェアの業界標準となっているZemax OpticStudio®の材料データベースに追加されたことを発表した。このたび登録された高機能性材料は2種類の高耐熱性LEXAN CXTポリカーボネート(PC)コポリマーおよび、ULTEMポリエーテルイミド(PEI)樹脂、EXTEMポリイミド樹脂である。これらはOpticStudioに初めて登録された高耐熱光学熱可塑性樹脂材料であり、光学センサーやレンズの設計者に、ガラスやエポキシ樹脂以外の新しい革新的な材料の選択肢を提供することになる。これらSABICの熱可塑性プラスチックスは、加工時間の短縮や光学部品の設計自由度を向上できるなど、従来材料にはない大きなメリットをもたらす。

4種類の熱可塑性プラスチックスがZEMAX OPTICSTUDIOデータベースに登録SABICで高耐熱樹脂テクノロジー、チーフ・サイエンティストを務めるGabrie Hooglandは「熱可塑性プラスチックスは、光学設計者が現在使用可能な選択肢を大幅に拡大可能な新しいカテゴリの材料です。今回Zemax OpticStudioデータベースに登録された最初の4製品は、今日および将来の民生用および産業用エレクトロニクス・アプリケーションにおいて、高耐熱性をはじめ特殊な要件が必要とされるセンサーやレンズに適した多くの望ましい特性を備えています。SABICは光学業界のお客様をサポートすると共に、設計者の変化するニーズや要望に対応するべく、Zemaxデータベースにおける当社供給材料の拡大に向けて積極的に取り組んでいます。」と述べている。

ZemaxでOpticStudioプロダクトマネージャーを務めるThomas Pickering博士は「私たちは、SABICの高性能高耐熱光学樹脂がOpticStudioに追加されたことを歓迎しています。当社ソフトウェアを活用して、光学コンポーネントやシステムの分析、シミュレーションおよび最適化を進めている設計者の多くから、熱可塑性プラスチックスの材料データを希望する声が高まっていました。そしてこのたび当社のお客様には、これら光学部品の設計に特化した材料を使用して、次世代レンズやセンサーを設計する新たな機会がもたらされました。こうしたデータベースの拡張は、設計者がOpticStudioからより多くの価値を得るために役立ちます。」と述べている。

光学アプリケーションに向けた優れた特性

Zemax OpticStudioデータベースに登録された4種類のSABIC熱光学ポリマーは、光学コンポーネントの小型化ニーズに適合し、数多くの機能を限られたスペースに統合するという課題に対処します。

  • LEXAN CXT 17およびLEXAN CXT 19 PCコポリマーは、過酷な成形条件下においても高耐熱性、高流動性および優れた色安定性をバランス良く発揮。また2つのコポリマーは、6を超える高い屈折率と、紫外線可視スペクトル範囲における高い透過性を兼備。
  • ULTEM 1010 PEI樹脂は、固有の難燃性、高強度および寸法安定性、赤外線スペクトル範囲における高い光線透過率、-40~180 Cの広範な温度範囲における耐熱性を提供可能。
  • EXTEM XH1015ポリイミド樹脂は、小型部品、複雑形状部品や薄肉部品において卓越した高耐熱性と高流動性を提供可能。

これらの材料は、ガラスやエポキシ樹脂にはない大きなメリットをもたらすことができる。設計においては、さまざまな制約を減らすと共に、設計自由度の向上、薄肉部品や長尺部品、質感の選択など、革新的な形状を実現できる。また成形の観点では、射出成形によってサイクルタイムを短縮できるほか、エポキシ樹脂で必要となる硬化工程の排除、光学ガラスで必要となる高コストな研磨や艶出し工程が不要となる。

SABICはZemaxと協力し、光学定数と呼ばれる特定の形式によって同社材料の光学データを提供している。これらのデータには、屈折率の分散定数、屈折率の温度定数、温度依存性、伝送データ、熱膨張係数(CTE)値などが含まれる。