SABICの新しいLexan* EXLコポリマー、 次世代小型太陽光発電システムのデザイン自由度を向上

太陽光パネル(イメージ)2011年12月13日 – SABICイノベーティブプラスチックス(以下SABIC)は、太陽光発電(PV)向けのコネクターやジャンクションボックスの急速な小型化に対応するため、新たに高性能コポリマー「Lexan* EXL 9330Sグレード」を発表した。電気特性および難燃性が強化された新たなLexan EXL樹脂グレードは部品の薄肉化や統合化によってシステム全体の小型化を可能にし、太陽エネルギー導入の低コスト化と高効率化に貢献する。これにより顧客の競争力を強化すると共に、太陽エネルギー導入の加速にも寄与する。

近年PV市場は20パーセントを超える年間成長率1を示すなど最も成長が期待されている市場のひとつであり、代替エネルギーの最有力候補として大きな注目を集めている。「SABICはPV関連の顧客に向けて、コスト効率に優れた環境ソリューションとしての太陽エネルギーの価値向上を実現する特殊素材を提供しています。当社のPV市場への集中的な取り組みは、技術的躍進が実用化の鍵を握る代替エネルギーなどの環境トレンドに対する積極的な支援を反映するものです。当社の幅広い素材ポートフォリオは、これまでにない設計手法を可能にするなど、様々な方法でサステナビリティの実現に貢献します。」とSABICイノベーティブプラスチックス太陽光関連マーケティングディレクターのアンドリュー・コディスはコメントする。

PV市場においては、効率向上や家庭向け太陽光パネルの増加、平面性が高く目立ちにくい設計、デザイン統合といった様々な要因によって小型化が進められている。「当社は60年近くにわたりポリカーボネートの開発を牽引して来た実績から、太陽エネルギー発展のため、その深い知識や専門技術を活用し、顧客のサステナビリティに関する目標達成に寄与することができます。」とコディスは付言する。

 

業界トップの電気特性と難燃性
新しいLexan EXL 9330SグレードはULの耐トラッキング指数(CTI)でPLC-2を示し、従来素材を上回る優れた電気特性を発揮する。この厳格な基準への準拠は、Lexan EXL 9330Sコポリマーが水分と塩分が存在する使用環境においても優れた耐アーク性を発揮し、このため、同樹脂で作られた部品は近接設置(クラス2で4mm vs. クラス3で12mm)が可能であることを示している。また0.8mm厚でUL94 V0の難燃性を有し、薄肉部品の設計が可能である。

さらにLexan EXL 9330Sコポリマーは、高温および低温環境下(-40°C~70°C)における優れた耐衝撃性に加え、長期的な耐腐食性や過酷な屋外環境における優れた耐候性を発揮する。

 

システムコスト削減の可能性
Lexan EXL 9330Sコポリマーは、高い流動性によってコスト効率の良い薄肉設計が可能な上、離型性にも優れていることから、射出成形サイクルタイムを最高40%低減することができる。

PV産業においては、太陽光パネルへのジャンクションボックスやコネクターの取り付けに接合剤やシーラントが広く使用されている。アルコール系のシーラントおよび接合剤はLexan EXL素材と適合性があるため、従来通り使用することができる2
SABICの拡大するPVポートフォリオ
Lexan EXL 9330Sグレードは、SABICがPV業界に提供する高性能で多用途に利用可能な製品ポートフォリオの一部である。このほかPV業界に向けた製品としては、

  • Noryl*(PPO・ノリル)樹脂:
    低密度、広い温度範囲(-40°C~140°C)での寸法安定性、低そり性、優れた長期耐候性、高温多湿環境において最高2,000時間の優れた安定性、優れた電気および熱特性などを発揮することから、PVジャンクションボックスでの使用に最適。
    またNoryl樹脂は、長期屋外使用用途に耐える素材として厳しい業界のニーズに対応。
    社内テストでは、ガラス充填および非充填のNoryl樹脂が12,000時間の紫外線暴露試験に耐えられることを実証。
  • Lexan EXL 9330およびLexan EXL 9330P(PC・ポリカーボネート)樹脂:
    従来のLexan EXL 9330およびLexan EXL 9330Pグレードは、Lexan EXL 9330Sと同様の低温耐衝撃性や他の多くの利点を保有。
    Lexan EXL 9330およびEXL 9330Pは、CTIのPLC-3が要求される設計で使用され、新製品Lexan EXL 9330Sは、CTIのPLC-2特性が求められる用途に最適。
  • Ultem*(PEI・ウルテム)樹脂およびLNP*特殊コンパウンド樹脂:
    Ultem樹脂およびLNP特殊コンパウンド樹脂は、ジャンクションボックスの内部部品や特殊コネクターに最適。
    これら用途における耐熱温度は180°Cを超えることがあり、寸法安定性要件はさらに厳格。
    Ultem樹脂およびLNPコンパウンドは、PV業界の大手メーカーで採用が拡大。

SABICイノベーティブプラスチックスはPV関連の顧客に対して、高性能樹脂技術だけでなくアプリケーションの設計および開発サポートも併せて提供している。同社は長年にわたりプラスチックを用いた金属代替に取り組んでおり、顧客の密接な協力体制と広範囲に及ぶ実地試験を通して高機能樹脂の導入を支援している。また同社では、同社樹脂技術のPVシステム性能要件への適合に向け、各種規制機関とも密接に協力している。

SABIC製品の太陽光発電用途に関する詳細はwww.sabic-ip.comをご覧ください。技術関連のお問い合わせに関しては、次のサイトからご連絡ください。www.sabic-ip.com/prtechinquiry

* SABICイノベーティブプラスチックスIP BVの商標です。
1”A Bright Future Shines on the Solar Photovoltaic Electricity Market”  欧州太陽光発電産業協会プレスリリース、2010年4月12日。
2試験によりいくつかのアルコールベースのシーラントおよび接合剤に関してはLexan EXLコポリマーとの適合性が確認されている。各用途の詳細に関してはSABICセールスまでご連絡願います。全ての場合に於いて完成品部品の実際使用条件下での広範な試験を強く推奨します。性能およびエンドユーザー試験結果の解釈および判断は、最終製造者の責任とします。