SABICイノベーティブプラスチックス、航空業界の高度なニーズに対応する画期的な材料ソリューションを 独「Aircraft Interiors Expo 2011」で発表

Geven S.p.A. 社がSABICイノベーティブプラスチックスのLexan* XHRシートをカリビアン航空の「アルモニア」インテリアの新しい座席に採用2011年4月7日 – SABICイノベーティブプラスチックスは、ドイツで開催されている「Aircraft Interiors Expo 2011」の展示会(ブースNo:5F33)で、航空機業界の軽量化、規制準拠、環境サステイナビリティ、快適性などの重要課題に対応する高性能熱可塑性樹脂、シート、フォームおよびコンポジットのソリューションに焦点を当てた展示をしている。出展している革新的製品は、同社の高度な材料技術のポートフォリオと相まって、世界中の航空機OEMの低燃費と排出ガスの低減に貢献する最大50%の軽量化、厳しいFST(難燃、発煙、毒性)規制の順守、全体的システムコストの削減、客室環境の安全と快適性向上の取り組みを支援するものとなる。これらの新しい製品群は、航空機業界の主要なグローバルサプライヤーとしてのSABICイノベーティブプラスチックスの地位を更に強化し、同時に、同社の高性能プラスチックの充実したソリューションを物語る。

展示会場では、Crystal Cabinの受賞歴を持つLSG Sky Chefs(LSGスカイシェフ)社の超軽量機内食カート、新しいボーイング737 BSI用にPECOマニュファクチャリング社が設計、製造した乗客サービス用ユニット、Sell Cabin Interiors GmbH社の新世代のオーブン部品、およびBucher Leichtbau AG社のマガジン/パンフレット用ラックなどを展示している。これらのソリューションは、業界を代表する新進気鋭の部品サプライヤーが常に変化する業界スタンダードの一歩先を行く製品やサービスを提供する取り組みにSABICイノベーティブプラスチックが大きく貢献していることを実証している。Pilatus Aircraft Ltd.社がSABICイノベーティブプラスチックスのLexan* F6000シートを使って製造したコックピット

SABICイノベーティブプラスチックスのスペシャルティフィルム&シート担当ゼネラルマネージャーのジャック・ゴーバースは、次のようにコメントする。「世界中の航空OEMとその一次部品メーカーは、次世代の航空機をコスト効率の高い方法で設計・製造するための規制に準拠した安全で燃費の優れたソリューションを求めています。私どもは、専門知識と航空業界のお客様と一体になった取り組みによって、これらの課題を克服するためのお手伝いをしています。同時に、当社は生産能力を高め、最新の優れた先端材料ソリューションを開発するための継続的投資により、お客様の長期的な発展をサポートいたします。SABICイノベーティブプラスチックスは、エキサイティングかつダイナミック、そして重要な業界において、熱可塑性樹脂およびシートの性能をさらに高めるために全力を注いでいます。」SABICイノベーティブプラスチックスのLexan* F2000Aシートを使って作られた機内誌収納用ラック


空の旅をより低燃費で、楽しく、環境に優しいものへ

平均すると、航空機は1時間当たり、機内の重量1キロにつき約0.03kgの燃料を消費する。商業用飛行機は年間に合計で約5700時間飛行すると仮定すれば、1回の飛行で1kg節約できれば1年間に約1700トンの燃料、および5400トンの二酸化炭素(CO2)が削減できる。SABICイノベーティブプラスチックスの航空業界用高性能技術を航空機の様々な部分に実装することによって、様々な改善が実現できる。例えば、座席フレームに伝統的に使用されているポリ塩化ビニル(PVC)/アクリル製品の代わりにLexan* F6000シートを使用することで、航空機は、重量を約23%軽減することができ、190席の飛行機の場合、80kgの軽量化を実現できる。

以下の材料は航空機のインテリアアプリケーションにおいて、高い軽量化、性能向上および規制準拠上のメリットを提供する。

  • Lexan XHR(非常に低い放熱率)6000シート:Lexan XHRシートは、従来のPVC/ポリメチル-メタクリレート(PMMA)製品よりも最大12%の軽量化が可能なため、燃費低減に貢献するだけでなく、主要航空会社の座席、コックピットライニング、窓枠、ドアシュラウド、その他のインテリア部品のFST要件(FAR25853)に準拠している。カラーコーディネートされた熱成形部品や射出成形部品でも、シートまたは樹脂の形で色をマッチングさせることも可能である。航空機用座席およびインテリアの大手ソリューションプロバイダであるGeven S.p.A.社は、Giugiaroがデザインしたカリビアン航空の「Armonia」インテリアの新しい座席用にLexan XHRシートを採用した。座席の重量を最大でも9kg以内に抑えるという課題があったため、Geven社は新しい高性能の軽量材料を模索した。燃焼、発煙、放熱とエアバスの毒性要件を満たすという厳しい条件のもとで選ばれたのが、Lexan XHRシートだった。また、従来のポリ塩化ビニル/アクリル製品に比べ、熱成形の加工性、軽量性の面でも優れている。
  • Ultem* Composite Aerospace Board(CAB):Crane & Co.との共同開発のもとに製造 されているUltem CABシートは、熱硬化性アラミド繊維強化ハニカムコンポジットに取って代わる優れた製品である。Ultem CABシートは、高速の熱成形が可能で、幅広い高性能特性をもち、リサイクルが可能、さらに新開発のフィルム層によって、連邦航空局(FAA)要件に準拠しながら製品の有効寿命を伸ばすことができる。
  • カーボン繊維強化Ultem樹脂:SABICイノベーティブプラスチックスの40%カーボン繊維強化したUltem樹脂技術は、優れた剛性とフローが特徴である。これらの特性は、構造部品における航空機グレードのアルミダイカスト製品に代わる薄肉の成形部品の製造が可能で、最大50%の軽量化と最大40%の強度の向上が実現できる。用途としては、構造部のサポート、肘掛、フットレスト、コーヒーメーカーのシャーシ等の調理用途、トレーテーブルアーム等がある。業界で認知された航空機インテリア用のUltem樹脂の性能を基に開発されたカーボン繊維強化Ultem樹脂は、FAA燃焼性FAR25853、およびオハイオ州立大学(OSU)基準65/65の発煙密度および放熱要件に準拠する。
  • 透明Lexan F2000Aシート:このシートは、卓越したFST性能と衝撃強度を備え、2mmおよび3mmでそれぞれFAR25853 & ABD0031要件を満たす。透明性が必要とされる窓、光拡散、ネオンサインなどに応用することができる。Lexan F2000Aシートは、DIN/VDE 0472パート815に基づく環境にやさしい難燃性を備えている。

    軽量、透明なLexan F2000Aシートは、航空機用インテリアおよびシートを専門とするインテリア製品設計の大手Patrick Lindon社によって採用され、同製品はBucher Leichtbau AG社の新しい機内パンフレット収納用ラックに使われている。優れた特性とともに、同シートは2mmおよび3mmでFAR25853燃焼および発煙要件、および ABD0031毒性要件を満している。

  • 透明Lexan FSTコポリマー樹脂:透明な樹脂の開発により、当製品は審美性を必要とする様々な分野への応用が可能である。同色のLexan XHRシートと組み合わせて、パーソナルサービスユニット、窓枠、入り口のトリムなどに使うことができ、二次塗装が不要なため、コスト削減と環境に貢献する。また、ハードコーティングを施すと内装基準を完全に満たすことも可能。
  • Extem* UP 熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂:同樹脂は高い難燃性、超高耐熱樹脂で、240°Cの相対温度指数(RTI)でUL746B要件を満たし、10年以上の期間にわたってこの温度で機械的、および電気的特性を維持することができる。超高性能で知られるExtem樹脂技術にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を加えることで、SABICイノベーティブプラスチックスは、両材料の優れた特性によって顧客に最適な性能を提供する。200°Cにおいては、PEEKを充填していないものと比較して最大5倍の曲げ強度、最大5倍の高剛性を発揮し、線膨張係数(CTE)でみた寸法安定性は非強化PEEK樹脂と比べ最大30%向上する。

    Extem UP熱可塑性樹脂は、その優れた特性により、薄肉化、優れた設計柔軟性、高生産性、強度、剛性を提供するため、材料重量とコストを削減し、より高い寸法精度が求められるアプリケーションでも使用できる。このユニークな組み合わせにより、半導体のチップトレイ、厳しい使用環境のコネクタ、高温の石油、天然ガス、航空機環境での金属に代わる材料など、より軽量で高温のもとで連続的な使用が要求されるアプリケーションに新しい道が開いた。

多様なアプリケーションで多くのメリット
展示場では、SABICイノベーティブプラスチックスは、同社の先端材料を取り入れた様々な航空機のインテリアアプリケーションを展示している。

  • LSG Sky ChefおよびNorduynの機内用トロリー:これらの超軽量トロリー(グリーンキャビン、健康、安全カテゴリーで2010 Crystal Cabinアワードを受賞)は、押出部品やドアラッチには優れた耐UV特性を持ったUltem樹脂を採用し、枠およびその他の部品にNoryl*樹脂を採用している。Crystal Cabinアワードは、航空機インテリアの革新技術に対して授与される唯一の国際的な賞である。
  • Zodiac Aerospace Groupのグループ企業Sell Cabin Interiors GmbHのギャラリーインサーツ:Sellの新世代オーブンは、30にのぼる金属部品の代わりにUltem樹脂を採用したことで軽量化を実現、また部品の一体化によってコストを削減している。Ultem樹脂は、オーブンレンジの正面とドア部分、正面のドリップトレイ、コーヒーメーカーのブルーヘッドおよびブルーカップ、オーブンの正面とドア部分、サービングポット、ジューサーおよび湯沸かし器に使われている。Ultem樹脂を使うことで、より柔軟なデザインとカラーマッチングが可能になる。
  • Pilatus Aircraft Ltdの新しいコックピット:単発ターボプロップ飛行機および航空機トレーニングシステムの世界的メーカーであるPilatus Aircraft Ltd.社は最新のコックピットの開発にあたってLexan F6000を採用した。この材料により、同社は熱硬化性樹脂に比べ優れた着色性、寸法安定性および加工性を確保することができ、同時に業界要件を満たすことができた。

SABICイノベーティブプラスチックスの航空業界向け高性能材料に関しては、www.sabic-ip.comをご参照ください。製品の技術関連のお問い合わせに関しては、次のサイトからご連絡ください。www.sabic-ip.com/prtechinquiry.

* SABICイノベーティブプラスチックスIP BVの商標です。
1 Enviro.aeroは、商業航空業界団体であるAir Transport Action Group(ATAG)によって設立されました。ATAGはスイスのジュネーブに本部を置き、航空輸送産業のすべての部門を代表する唯一の国際機関です。同機関の目的は、国際社会における航空産業の永続的な成長を促進することです。