グローバル戦略機として主力の電気式射出成形機「NEXシリーズ」をモデルチェンジ

2019年10月15日 – 日精樹脂工業㈱(社長・依田穂積、本社・長野県埴科郡坂城町)は、主力機種である電気式射出成形機「NEXシリーズ」において、グローバル戦略機として最新機種「NEX‐Vシリーズ」を開発、同シリーズから型締力2740kN(280トン)のNEX280V‐71Eを、今月16月からドイツで開催される世界最大規模のプラスチック関連展示会「K2019」において初公開します。

新「NEX‐Vシリーズ」の最大の特長は、成形工場のIoT化の推進を主眼に開発した新型コントローラ「TACT5」を搭載している点です。
当社は、1984年に成形工場の生産監視・集中監視システムを開発以降、「工場の視える化」を推進しており、高度化・高速化するデジタル社会、情報化社会に対応しつつ技術開発を進め、今回「TACT5」を開発。当社は、IoTへの対応技術を「N-Constellation」として提案を開始しますが、この新型コントローラの搭載により、射出成形機をハブに各種周辺機器をネットワーク化することが可能となり、稼働情報のリアルタイム収集はもとより、遠隔でのモニタリングやリモートメンテナンスサービスを実現する他、将来的には予知保全の実現も見据えています。

【新NEX‐Vシリーズの主な特長】

1)IoT技術によりスマート工場を実現する最新コントローラ「TACT5」を搭載。

  • OPC‐UA※1 標準搭載により、Euromap77・83※2 への対応を標準化。MES対応をはじめ、周辺機器接続用の通信規格対応を容易とし、成形機をハブとして、取出ロボットや材料供給装置、金型温度調節機等の周辺機器の一元管理が可能となります。
  • 操作パネルはフラットシートとし、水濡れ・埃に強いタッチパネルを搭載。ユニバーサルデザインを採用し、作業者に優しい視認性に優れた操作パネルです。
  • 画面は15インチLCDの縦長配置で、当社独自の上下2画面表示により、見やすく直感的な操作が可能な画面デザインです。
  • 稼動履歴や成形モニタデータによるトレーサビリティを容易にするなど、充実した品質・生産管理機能やメンテナンス機能を搭載。

2)射出成形機の世界統一の安全規格ISO20430(国際標準化機構にて制定中)に準拠。統一規格を先取りし、当社のグローバル戦略機と位置付けて開発。

3)小さな機械。大きな金型。

  • 機械全長は業界最小クラスを維持しつつ、業界トップクラスのワイドプラテンとロングデイライトを実現。近年、複合一体化ニーズや製品形状の複雑化によって大型化している金型やホットランナ金型、長尺成形品の金型等にもフレキシブルに対応します。
  • 当社独自の低圧成形システムとの組み合わせにより、従来使用している金型に対して、1クラス下の型締力の成形機を選択することも可能となります。

4)より速く。より精密に。

  • ハイサイクル動作を実現した、現行シリーズの型締トグル機構を継承。型開閉等のハイサイクル動作により、生産性の向上に貢献します。また、従来から信頼性の高い「フラットクランプ型締機構」は、面圧の均一性とねじれに強い構造設計である他、可動盤スライド部に標準装備したリニアガイドにより、型締直進精度が優れており、バリなどの成形不良を防ぎ再現性に優れた精密安定成形を実現します。また、金型や型締機構の長寿命化にも寄与します。
  • 耐摩耗性に優れたトグル機構とリニアガイドの採用により、グリスの煩わしさを低減。クリーン度が向上しており、容器や医療業界からのクリーンルーム対応ニーズにも、より威力を発揮します。

当社は、1983年、世界で初めて電気式射出成形機を開発、その後も継続して基礎技術の開発、基本性能の向上を実現してきました。NEXシリーズは、2003年の販売開始以来、累計約20,000台超の販売実績を有する当社の主力機種で、今回開発した「NEX‐V」は第5世代にあたり、2016年5月に販売を開始し、高い評価を得ている現行シリーズ「NEX‐IV」の後継機種となります。

新シリーズのラインナップは、型締力294kN(30トン)~3530kN(360トン)まで9機種で、2020年5月から順次量産開始を予定しています。

標準本体価格は、型締力2740kN(280トン)の「NEX280V-71E」で2,170万円(消費税別)。

NEX280V-71E

写真は、K2019に出展するNEX280V-71E(オプション搭載機=クリーンルーム仕様)

 

【補足説明】

※1 OPC‐UA(OLE for Process Control Unified Architecture):
コントローラ⇔上位システム間用のオープンな通信規格のひとつ。様々な製品間や異なるOSにまたがってデータ交換を可能にする、安全で高信頼の産業通信用のデータ交換標準規格。ドイツを中心に進められているIndustry4.0で、通信層の標準規格に採用されたことをきっかけに普及拡大している。

※2 Euromap(ユーロマップ):
ヨーロッパのプラスチック関連業界の団体。そこで規格化されたものは「Euromap**」(**は追い番)という形で表される。
最近は、「OPC-UA for Plastics and Rubber Machinery」協会を設立し、全世界にIndustry4.0を広める取組みを実施している(当社も本協会に参加)。
上記OPC‐UAをベースとした、MESや周辺機器接続用の通信規格を策定、制定している。

【EuromapXX 通信規格世代の流れ】
成形機 Euromap63 → Euromap77・83 〔MES(製造実行システム)接続がターゲット。制定済み〕
ロボット Euromap79 〔規格策定中〕
周辺機器 Euromap82.1 金型温度調節機 〔制定済み〕
Euromap82.2 ホットランナ 〔策定中〕