メルー・ネットワークス社、 医療情報システムのWi-Fiインフラに画期的なマルチレイヤーソリューションを実現する 「U C N」ネットワーク・サービスを発表

病院や医療機関のネットワークとデバイスを連携し 患者の安全性、医療業務の作業効率、患者の満足度を向上

meru2013年3月28日 –  無線LAN規格IEEE802.11nによる企業内ワイヤレスネットワーキングのパイオニアである米Meru Networks, Inc.(NASDAQ:MERU)の日本法人メルー・ネットワークス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:司馬 聡、以下メルー)は、医療情報システムで利用するWi-Fiインフラに向けて、新たに「UCN(Uninterrupted Care Network: 途切れないケアネットワーク)」ネットワーク・サービスを発表した。

UCNは、病院や医療機関で利用されるWi-Fi接続環境において重要視される「ライフ・クリティカル(人命に関わる利用)」、「ミッション・クリティカル(医療情報の管理に関わる利用)」、「コンシューマー・クリティカル(利用者の利便性に関わる利用)」用途で使用されるデバイスやアプリケーションを、単一の無線ネットワークで接続可能にするサービスである。現在、各医療機関では「患者の安全性」、「医療業務の作業効率」、「患者の満足度」それぞれについてより一層の向上に努めており、UCNはこうした取り組みをサポートするものである。加えて医療機関による「ミーニングフル・ユース 」要件への適合や、BYODの増加によるネットワークインフラの負荷軽減とIT担当者の負担軽減にも寄与する。UCNは、無線/有線を問わず、既に存在するネットワーク基盤の上にオーバーレイネットワークを構築できるため、Wi-Fiを利用したテレメトリー(遠隔測定)など「ライフ・クリティカル」なデバイスやアプリケーションの運用におけるコストと複雑性を低減できる。

米国の医療ネットワークコンサルタント企業であるSpyglass Consulting Group創業者 兼 マネージング・ディレクターのグレッグ・マルカリー氏は、「先日当社が発表したホワイトペーパー “Point of Care Computing for Nursing 2012″(ポイント・オブ・ケア看護におけるIT利用の実態 2012)では、作業効率の向上、患者の安全性強化、医療過誤リスクの低減を図るために、ポイント・オブ・ケアの現場へのモバイルソリューション導入が重要なトレンドとなっていることを示しました。」としており、また「しかしながら、無線ネットワークの品質と信頼性について、懐疑的な意見を持つ看護師がいることも明らかになりました。メルーのUCNは、ポイント・オブ・ケアの現場で増え続ける無線ネットワークのユーザー、デバイスやアプリケーションに対して、より高い信頼性と優れた拡張性を備えた無線ネットワークを提供します。」とコメントしている。


メルーが提供する ‘ 途切れないケアネットワーク ‘

メルーのUCNは、既存ネットワークと別のレイヤーにWi-Fiチャネルレイヤーを構築することができる。このため医療機関では、テレメトリーなどの「ライフ・クリティカル」なWi-Fi対応デバイスに専用の無線チャネルレイヤーを構築することで、信頼性の高いネットワーク接続を確保できる。これにより、例えば、看護師がイーサネットケーブルの接続を忘れたり、不慮のケーブル接続寸断が生じた際にも、患者モニタリングの中断が無くなる。

3レイヤーで運用するUCN

  • ライフ・クリティカル:  1番目の無線チャネルレイヤーは、スマート輸液ポンプやWi-Fi対応テレメトリーなどのライフ・クリティカルなデバイスやアプリケーション、およびこれらに付随する用途に専用の無線トラフィックとして利用。Wi-Fi対応機器による中央モニタリング体制により、医療業務の作業効率に加え患者の安全性向上にも寄与。
  • ミッション・クリティカル:  2番目の無線チャネルレイヤーは、ミッション・クリティカルなアプリケーションとデバイスが利用し、EMR(電子カルテ)、VoIP、CitrixベースのCPOE(医師向けITオーダーエントリーシステム)やバーコードを利用した医薬品管理などの業務用モバイルアプリーションに対して信頼できる接続性とQoS(高品質なサービス)を提供。これにより、看護師の作業効率と患者の満足度(HCAHPS)を向上。
  • コンシューマー・クリティカル:  3番目の無線チャネルレイヤーは、コンシューマー・クリティカルな用途で利用し、患者にインターネットを経由した家族や友人とのコミュニケーション環境を提供。こうした家族とのコミュニケーションは、患者の心境や治療結果への好作用が知られており、結果として患者の満足度向上に寄与。

メルーのUCNは、メルー独自の無線バーチャル化技術を元に設計されているため、無線通信にとって過酷と言える医療現場においても、ナースコール、音声コミュニケーション、医療用カートなどのモバイル機器に、安定した接続性、高い信頼性、シームレスな移動性を提供する。また、メルーのエアタイムフェアネス技術によって、各デバイスは必要に応じたアクセスが可能となり、公平かつ不自由を感じることなくアプリケーションを動作させることができる。

医療機器メーカーは、自社製品に最高かつ最新の無線伝送および受信に対応した機能を搭載している。しかしながら、従来のマイクロセル技術によるWi-Fiネットワークではこれらの性能を十分に生かすことができず、このため医療機関では生命に関わる医療現場への無線化に向けた投資を困難にしている。さらにこうした制約により、実際の医療現場では、無線に対応した医療機器をイーサネットに有線接続して使用しているため、医療従事者の生産性を下げる結果を招いている。

一方、米国の医療制度改革に基づく「ミーニングフル・ユース1」要件によって、医療機関ではCPOE、バーコードを利用した医療管理システム、VoIPやナースコールなどの技術導入が加速している。また「Hospital Value-Based Purchasing(米・医療評価報酬制度)」には、ユニファイドコミュニケーションなどの技術を活用した患者満足度調査(HCAHPS)が含まれている。これらの評価制度はIT化が進んだ医療機関に有利となり、信頼性の高い無線環境に対応しない医療機関では、生産性の大幅な低下が懸念されている。

また、患者の家族や友人が医療機関内に持ち込むタブレット、スマートフォン、ゲーム機などのパーソナル機器は、患者のケアや満足度に与える影響が大きくなっている。これらは患者の心情を向上させ、リラックスに伴う治癒の早期化や入院中の好印象をもたらすと共に、医療コストの低減と患者満足度の評価向上につながる。UCNは、メール送受信といったシンプルなものからビデオ視聴サービスやビデオ会議システムに至るまで、Wi-Fiネットワークのコンシューマー・クリティカルな用途に関して十分に検討し開発されている。


UCNネットワーク・サービス

メルー・アイデンティティー・マネージャー
メルーのアイデンティティー・マネージャー(IDM)は、医療機関内における無線ネットワークへの安全なゲストアクセスとプロビジョニングを簡素化できるため、IT担当者の業務負荷を軽減すると共に、エンドユーザーに高品質な接続を提供する。IDMの導入によって、医療機関の関係者は自身のタブレット端末(BYOD)をいつでもセルフ・プロビジョニングでき、また医師が帰宅する際にはタブレット端末がネットワークから自動切断されるため、患者情報のセキュリティを確保することができる。

メルー・サービスアシュアランス・マネージャー
このソフトウエアは、オーバーレイセンサーを用いること無く高品質な無線アプリケーションサービスを維持することができる。サービス・アシュアランス・マネージャーは自動的に予測ヘルスチェックを実施し、ほとんどの場合エンドユーザーに影響を及ぼす前に問題を報告する。UCNのサービス・アシュアランスは、レイテンシー(遅延)に加え、エンド間のネットワーク接続性、Wi-Fi検出、電子レンジなど非Wi-Fi機器による干渉といったWi-Fiネットワークの信頼性と品質に影響を与える問題を管理者へ事前に通知することができる。

メルー、上級副社長 兼 ヘルスケア事業本部長のカマル・アナンドは、「医療機関は、患者の安全性、医療従事者の作業効率そして患者の満足度向上のためWi-Fiを活用したいと願っています。メルーのチャネルレイヤー技術は、途切れることの無い信頼できるネットワーク接続によって、こうした医療機関の要望に応えて参ります。」とコメントしている。

同社は、2013年3月4日から6日まで米ニューオーリンズで開催された医療情報システムの展示会「HIMSS 2013カンファレンス」に出展し、同サービスを発表した。

メルーのヘルスケア産業向けソリューションについての詳細は、弊社ウェブサイト資料(英語)をご覧ください。

 

1 Meaningful Use: 生涯電子カルテ(EHR:Electronic Health Record)の意義ある利用、米保健社会福祉省メディケア・メディケイドサービスセンターが定める一定のパフォーマンス基準