SABICイノベーティブプラスチックス
強靭なUltem*樹脂が米Lee Spring社のスプリングに採用

Ultem樹脂は、この新しいスプリング製品に、比強度、高耐腐食性、非導電用途に適した絶縁性、 磁気障害の発生が無いといった様々な特性を提供する。

Lee Spring社の社長であるアル・マンゲルス氏は、「Ultem樹脂は他の競合材料に比べて、 非常に条件の厳しい用途において数多くの採用実績を持つことから、LeePへの採用を決めました。 Ultem樹脂は、あらゆる面で当社の期待を上回るものでした。Ultem樹脂は、複数の優れた特性を兼ね備え、 他の熱可塑性樹脂よりも優れた性能を発揮する材料です。Ultem樹脂を用いたことで、業界標準の刷新という、 当社の最終的な目標を達成したと実感できました。」とコメントしている。

SABICイノベーティブプラスチックスのプロダクト・マーケティング・マネージャーである ショーン・リー氏は、「これまで、高機能スプリングに熱可塑性樹脂が使用されることは稀でした。 当社は、Lee Spring社と共に新たな用途を開拓したと言えるでしょう。」と話している。また 「私たちは、新たなスプリング製品においてUltem樹脂がどのような性能を示すかについて、 初期計算や予測分析から製品評価に至るまで、化学品や素材に関する専門知識を駆使した技術サポートを 提供しました。当社は、競争優位性や市場シェアの獲得機会を顧客に提供することが重要である と考えています。」と述べている。

新たな機会を創出するUltem樹脂

Lee Spring社は、金属の強度に匹敵する高機能熱可塑性樹脂製スプリングによって、 これまで未開拓だった市場での需要に期待している。Lee Spring社のCEOであるスティーブ・ケンプ氏は、 「当社の顧客が求めているのは、強度、熱安定性、耐腐食性、非磁性、絶縁性、不活性、低煙毒性、 リサイクル性などです。Ultem樹脂を選択した理由は、強度が高い上に機能性全般が優れていたためです。 Ultem樹脂は、1つの材料で顧客からのあらゆる要件を満たします。」と述べた。

例えば、海洋用途においては、Ultem樹脂を用いたLeePスプリングの耐塩水性により、 製品の長寿命化が期待できる。また、医療機器用途において、特に画像診断などの磁性体を扱う 装置に金属スプリングを用いた場合、画像処理に悪影響を与える磁気ノイズを遮蔽するために追加コストが 必要となるが、非磁性のLeePスプリングでは遮蔽の必要が無い。この他に適用が期待できる分野としては、 医療用の製品や製造装置、薬品供給機器、食品加工や包装機器、航空宇宙産業用の製品、電子電気機器、 浄水システム、自動車内装用途などがある。

LeePスプリングは、標準品として様々なサイズが取り揃えられ、それぞれ、強化繊維の含有量が 異なるUltem樹脂を使用した、強度の異なる製品が利用可能である。

様々な優れた機能を提供

LeePの様な圧縮スプリングでは、スプリングレート（バネ定数：スプリングの硬さの指標）、 サイクル寿命（疲労に対する耐久性）、耐クリープ性といった性能が評価基準となる。Ultem樹脂は、 これらの基準を満たすだけでなく、他にも重要な特性を備えている。

• 機械的特性は170°Cまで安定しており、多様な環境下で使用できる。

• 高比強度。Ultem樹脂は、市場で最も高強度な非結晶性樹脂。

• 耐腐蝕性に優れ、強酸、弱塩基、芳香族化合物、ケトンなど多くの化学薬品に適応。

• 非磁性で、画像処理など磁性体を扱う装置に悪影響を及ぼさない。

• 非導電用途に適した絶縁材料。

• 不活性で汚染の心配が無いため製品の純度を確保。

• 難燃性、低毒性で環境的に安全。

• リサイクル可能で、RoHSやREACHを含む世界的な規制に対応。

* SABIC Innovative Plastics IP BV の商標です。